楽天の英語政策とは――とにかく英語を使うこと


楽天の三木谷浩史社長が、同社のグローバル化の一環として社内の公用語を英語にする方針を2010年5月に発表した際、従業員に母国語以外の言語を強制するやり方を疑問視する声が聞かれた。

2年後、三木谷氏は「英語化」は成功していると評価した。従業員の英語能力は確実に向上し、完璧ではないにしても理解可能な英語でコミュニケーションを図ろうとする意志がますます強くなっているという。

Agence France-Presse/Getty Images
日本外国特派員協会で話す楽天の三木谷浩史社長(東京、6月29日)

楽天によると4月の時点で、社内文書や会議、社内コミュニケーションの79%が英語で行われているという。1年前は65%だった。

同社は今、次のステップへ進もうとしている。この7月から楽天社員はすべての社内プレゼンテーションや文書、メモに至るまで英語を使用しなければならなくなった。加えて、社内会議、研修、社内メールではすべて英語が使われることになった。

「望ましいというだけではない。われわれにとって英語でビジネスを行い、業務を行う能力を持つことは本当に重要なことだ」としたうえで、「われわれの従業員に翻訳は不要だ」と、三木谷氏は日本外国特派員協会で終始英語で述べた。

銀行員から超富裕層のIT(情報テクノロジー)起業家に転身した三木谷氏は、日本の企業に世界的競争を思いとどまらせている理由の1つは言葉の壁だと指摘する。言語バリアが海外での競争力を完全につかみ取ることを妨げているという。また日本株式会社に海外の優秀な人材を確保することや、外国人スタッフの雇用を維持することを制限させているのは英語の能力不足だ、と三木谷氏は言う。

私立教育機関のEFエデュケーション・ファーストが発表した英語能力指数(EPI)のランクによると、日本は世界第14位だ。13位は韓国、15位はポルトガルである。日本の学校で費やされる英語授業の時間数を考えると、この順位は低いように見える。

英語を公用語にするとの方針を発表後、楽天はあまり従業員を支援しなかった、と三木谷氏は言う。自分たちで学習してくれることを望んでいたからだ。しかしこの方針転換が従業員の間に大きなストレスと不安を招いたように感じたため、楽天は無料の英語クラスを設けることを決め、勉強する時間を与え、英語学習も仕事の一部だとの認識を明確にした。

三木谷氏は、新しい方針が気に入らずに離職した従業員もいたと明かす。ただ、人数はほとんどの人が予想するよりは少ないと言う。三木谷氏は、社員はネイティブスピーカーになる必要はなく、英語を使うための勇気が必要なだけだと指摘する。

「簡単なことではない。私にとっては容易ではなかったし、従業員にとっても簡単ではなかった」としたうえで、三木谷氏は「これが日本の産業界、日本株式会社、そして一般社会にとって、新しい傾向の始まりとなってくれればと期待している」と述べた。

試験の点数は、この辛い努力が報われていることを示している。楽天社員の「TOEIC」の平均スコアは6月、2010年10月より32%上昇した。

記者:Daisuke Wakabayashi

http://jp.wsj.com/japanrealtime/blog/archives/12241/

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